韓國語



3)平安時代の新作歌謡


 
催馬楽
(さいばら):各地の民謡・流行歌が都の貴族により雅楽風に編曲され、雅楽器の伴奏によって
               歌われるようになったものが、宮廷音楽のひとつに取り入れられ、大流行した。

 ・朗 詠 (ろうえい):漢詩に旋律をつけ、雅楽器の伴奏で歌う歌曲。15作品が現在に伝えられている。



B.演奏形態による分類

1)管絃(かんげん)

外来の音楽の演奏形態。
以下の楽器により演奏される。 

三つの管楽器 (=『三管』:笙(しょう)・  篳篥(ひちりき)・  龍笛(りゅうてき)
三つの打楽器 (=『三鼓』:鞨鼓(かっこ)太鼓(たいこ)・鉦鼓(しょうこ)
二つの絃楽器 (琵琶(びわ)筝(そう)

※上記は唐楽の場合。高麗楽の場合は龍笛の代わりに高麗笛(こまぶえ)を、鞨鼓の代わりに
  三ノ鼓(さんのつづみ)を用い、現在は絃楽器を用いないことが多い。

『管絃』ということばは、オーケストラの邦訳『管弦楽』のもととなった。

2)舞 楽
管絃で用いる楽器の伴奏で舞われる舞曲。現行の形式では絃楽器は用いられない。
広義では、日本古来の楽曲(A−1)に付随する舞も含まれる。

3)歌 謡
催馬楽・朗詠等の楽曲を、管楽器の伴奏で(催馬楽は絃楽器も使用)、笏拍子を打ってうたう
演奏形式。


日本雅楽の特徴

 「雅楽」という語は、俗楽の対義語で「雅正の音楽」という意味を持つ。漢字文化圏においてこの語は一般的に国王廟や孔子廟などで奏される儀礼音楽をあらわす。
 日本における『雅楽』の中にも「儀礼音楽」の要素がある。それは、わが国の土着信仰である神道の儀礼の中で育まれてきた歌謡と舞、すなわち、上代より伝わり
日本古来の歌舞(1)とされる神楽歌(かぐらうた)・東游(あずまあそび)・大和歌(やまとうた)・久米歌(くめうた)などである。これらは確かに日本雅楽の重要な柱となっている。
 しかしながら、日本の雅楽は実際のところ、上記のほかにも多様な要素を内包する、様々な音楽や舞踊の集合体だと言える。
 5世紀頃から伝来する大陸系の外来の楽舞(2)が雅楽二つ目の柱である。
 古代日本人が中国王朝や朝鮮半島から熱心に輸入したのは、宗廟での儀式に演奏されていた所謂「雅楽」ではなく、むしろ「俗楽的要素」すなわち酒宴の場などで奏される『宴饗楽』のほうであった。そしてこの『宴饗楽』こそが「日本雅楽」の骨格を作るに至る。
 つまり日本の雅楽は、単純に「儀礼音楽」にとどまらず、シルクロード沿いのアジア諸国のに起源をもつ多国籍でエキゾチックな魅力を内包する音楽と舞踊が、その中心的な柱となっているのである。
 さらに平安期に入ると、笙・篳篥(ひちりき)・笛を伴奏楽器として成立する催馬楽(さいばら)・朗詠等の平安時代の新作(3)歌謡=声楽が日本雅楽の新たな要素として加わってくる。
 要するに日本における「雅楽」は、わが国の土着信仰に付随した歌舞に、シルクロードの楽舞が加わり、雑多な要素が互いに響きあって成立した「古代アジア芸能の集大成」なのである。

 そしてこれらはいずれも千数百年の伝統を有し、世界の最も古い音楽文化財として歴史的価値を持つ。特に、雅楽における和声と音組織は西洋音楽のそれと異なるものであり、高い芸術的価値を備えるものである。

今日『雅楽』は、アジアの音楽と舞踊がこの日本で結実した「東洋の総合芸術」として世界から熱い注目を集めている。


↑人長舞『其ノ駒』
「神楽歌」にあわせて舞う
宮中神楽の代表曲

雅楽の分類

A.出自による分類


1)日本古来の歌舞
 上代(奈良時代)以前から、我が国に伝わるとされる音楽と舞。主に神道儀礼の
中で培われ、育まれてきた。
 神楽歌(かぐらうた)・東游(あずまあそび)・倭歌(やまとうた)・久米歌(くめうた)
・大歌(おおうた)・誄歌(るいか)などの歌謡と、それらに付随する舞がある。

2)外来の楽舞
 5世紀以降、アジア諸国から伝来する楽舞。次の2系統に分類して伝承してきた。

 ・唐 楽 〔とうがく〕
   中国ばかりでなく、インド(天竺楽)・ベトナム(林邑楽)などに起源を持ち、中国
   王朝経由で伝来した古代アジア南方系の楽曲と舞。赤系の装束で舞う。

 ・高麗楽 〔こまがく〕
   主に朝鮮半島に起源を持つ楽曲と舞。原則として、青系の装束で舞う。
   (例外あり)

*なお、左右両部制の下では、原則的に唐楽の伴奏で舞う舞楽を「左方の舞」、
高麗楽の伴奏で舞う舞楽を「右方の舞」と分類した。
 また、これらを参考にした国産の楽舞も多く存在する。

↑唐楽『蘭陵王』

↑高麗楽『納曾利』

↑天竺楽『迦陵頻』

雅楽とは?